こちらも芥川賞本。

表紙の通りボクシングを題材にした本。

ボクシングの試合の動きが良さげな感じに書かれているんだけど、あんまりボクシングを知らないんでテキストから脳内で試合が再生されなかったけど、ボクサーの減量の辛さとか、そこから生まれるいろんな心境なんかはストーリーとして面白かった。

最初はNintendo64向けに開発されて、最終的にはGame Cube向けにリリースされた動物番長というゲームのプロジェクトでご一緒した遠藤さんの本。

遠藤さんと言えば「ゼビウス」とか「ドルアーガの塔」のゲームデザインをしたゲーム界のレジェンドだったり、かなり前は2chでEBIZOでいろいろ書いてたり、ゲームのなんかの協会の理事やってたり、ゲーム研究で博士号とったりと、まさにゲーム博士な人。

ゲームとは何か、ゲームシステム、レベルデザイン、UI、シューティング、ドライブ、アクションなど代表的なゲームの紹介と解説、モバイルゲームの所はスマホになる前のガラケーのゲームの紹介が懐かしかったり、オンラインゲームの運用では、課金のシステムや、クレームを言ってくる無課金プレイヤーのあしらい方までなかなか生々しい話も書いてある。

この本があれば、大学や専門学校のゲームの講師はできてしまう感じだが、ゲームの紹介については、文字ベースで紹介されていて、図がほとんどないので、読むだけでは理解ができない所もあるので、都度紹介されているゲームをYoutubeで検索するとかしながらやると良さそう。

この本の中でもアクションゲームの紹介の中で動物番長についても記述があって、「喰らいついて」「噛みちぎって」「食べる」というアクションが紹介されていた。64のコントローラーは真ん中にも握る所があったので、それを銃みたいに持ちながらディレクターの松本弦人さんを囲んで開発チームでその辺いろいろ話したりしたのを思い出した。

800ページ以上ある「世界標準の経営理論」を読んでその中に社会学ディシプリンをさらに深める為にと、紹介されている本でアルバート・ラズロ・バラバシの「新ネットワーク思考」と、ニコラス・A・クリスタキスの&ジェイムズ・H・ファウラーの「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」を読んで、その中で紹介されていた本。

多分同じ物理学から社会学へ広げていったバラバシ本で紹介されていたかな。

社会学には興味があるけど、ベースは工学部で船と飛行機について勉強をして、構造力学とか流体力学をやっていたのでどうにも数式で表す事ができない、社会学、ここには出てないけど法学、経済学はサイエンスみが欠けると思っていて、それに答えてくれる、というかきっかけを与えてくれる本だった。

著者のダンカン・ワッツも物理学出身で、現在は社会学部の教授をやっている。最後の章を読むと「社会学はいまだに自分たちのケプラーを見出していない」という言葉を引用して、物理学のようなサイエンス感に欠けるてな感じの事を言っている。

人間はパラメーターが多すぎて、古い経済学のモデルのように定式化、モデル化をしても結局の所は事象を説明できないし、社会的ネットワークは、多層的であったり再帰的な入れ子であって、さらにパラメーターが多い複雑系であるので、惑星の運動のようなモデル化は無理という話。

社会学でもサイエンスとして、ばらつきを平均化する為に多数の人間に聞き取りを行ったり、大勢を集めてロールプレイをやらせたり、手紙を使った実験をしたり、歴史をたどってみたりしているが、歴史はその都度1度しか起こらないので再現性は全くないし、なかなか物理学的なサイエンスとして扱えるものでは無かった。

しかし、インターネットが普及をして、連絡はe-mailで取り、人のつながりはFacebookのようなSNSでデータが取れるので、何万というデータを使った実験も可能になってきた。

今現在はどうなのかは知らないけどこの本を書いてた時はヤフーリサーチの研究員だったりもするので、社会学をインターネットのデータとアプリケーションでモデル化をしてコードに落とし込みいくつかの社会学的な命題の実証をやっている。

という事で、「イマイチサイエンス感の無かった社会学を俺がインターネトをつかってサイエンスにしてやるで!」という意気込みが感じされた。

この文を書いているのは2021年の6月で、まだまだCOVID-19の影響が強く、可能は人はリモートワークで、コミュニケーションもオンライン、打合せはZoom等でダンカン・ワッツみたいなネットとコードをベースとする社会学者にはさらに研究しやすい状況にある。

という事で、アルバート・ラズロ・バラバシやダンカン・ワッツのような物理学から社会学へ転向した研究者がこのCOVID-19の影響下の社会から何を導き出すか期待を勝手にしている。

以前に読んだこちらの本にも出てきているトピックもあり経営学についての用語に慣れてきた。

今後使えるように目次をメモっておく。

社会制度としての企業

  • 企業とは何か
  • 企業の2面性
  • 私企業の会社形態と特徴
  • 公企業の特徴
  • 独占禁止法

企業の目的と社会責任

  • 単一目的論
  • 多元的目的論
  • 企業の社会的責任
  • Corporate Social Responsibility
  • 企業倫理
  • 共有価値創造
  • Creative Shared Value

ステイクホルダーとコーポレートガバナンス

  • ステイクホルダーのマネージメントからエンゲージメントへ
  • ステイクホルダーとしての株主
  • コーポレートガバナンスが求められる理由

プロ経営者の登場と役割

  • 所有と経営の分離
  • プロ経営者の登場と支配
  • 経営者のマネジメント機能
  • 経営トップと経営ミドルの関係
  • リーダーとマネージャーの違い
  • 経営者の役割
  • 取締役、執行役、執行役員
  • 経営者の意思決定

意思決定のプロセス

  • 限定された合理性による意思決定
  • 意思決定のパターンと構造
  • 組織的意思決定と組織の意思決定
  • 不確実性、曖昧性下の意思決定

経営戦略

  • 戦略概念の登場・発展
  • 企業における戦略構造
  • 経営戦略の策定
  • 戦略策定プロセス
  • 製品・市場マトリックスの成長ベクトル
  • 多角化戦略と組織
  • 多角化戦略策定の枠組みとしてのPP<
  • 戦略的行動のパターン

競争戦略

  • 経営戦略論の発展と課題の増大
  • ポジショニングによる競争戦略
  • 資源ベースによる競争戦略
  • 多様な競争戦略
  • 戦略的提携による競争戦略
  • ダイナミック・ケイパビリティによる競争戦略

経営組織の解明

  • 経営組織に関する研究の発展
  • 官僚制組織論
  • 合理性の追求:科学的管理法とフォードシステムの組織
  • 人間性の追求:ホーソン実験によって注目された組織
  • 近代組織論:合理性と人間性の融合
  • システム論的組織論
  • 組織の環境適応論
  • 組織と環境
  • 組織のコンティンジェンシー理論
  • 環境変化と組織化
  • 組織の制度化論

組織デザイン

  • 組織原則
  • 組織の基本形態
  • 職能部門制度と事業部組織
  • マトリックス組織
  • 組織の成長・発展モデル
  • 組織デザイン論
  • ネットワーク化

組織行動と個人

  • 組織と個人
  • モチベーション論
  • モチベーションの内容論
  • マクレランドの欲求説
  • マズローの欲求階層説
  • ハーズバーグの動機付け・衛生(2要因)理論
  • X理論、Y理論
  • モチベーションのプロセス論
  • 公平理論
  • 期待値理論
  • 目的設定論
  • リーダーシップ
  • 特性論
  • 行動スタイル論
  • 状況論
  • さまざまなリーダーシップ論
  • 制度的リーダーシップ
  • 変革的リーダーシップ
  • サーバント・リーダーシップ
  • リーダーシップの代替性

グループ(集団)とチーム

  • グループ形成の成否
  • グループの変容と成果
  • グループ行動の特質
  • グループの欠点を克服するチーム
  • チームを有効にする影響要因
  • チーミングによる効果

経営トピックス:さまざまな謎

  • 企業経営において損益分岐点を理解することが必要なのはなぜか?
  • 組織文化がメンバーに悪影響する場合があるのはなぜか?
  • 組織学習論と知識創造論が統合されないのはなぜ?
  • 組織変革のプロセスがいろいろあるのはなぜか?
  • CSR経営とROE経営が対立するのはなぜか?

サクッと使えそうな所を抜粋

リバーサイド「100日プラン」の7項目

1 キーマンの採用、処遇計画

2 組織図・要員計画のアップデート

3 戦略計画の策定

4 事業計画・月次計画の確認・見通し

5 全従業員とのコミュニケーション

6 ガバナンス(企業統治)の確認

7 前オーナーからの引継ぎ完了

CFOの仕事

  • 成長計画に則った事業計画の策定
  • 適切なKPIを策定
  • 毎月のPDCAの実践
  • 問題点に対しての解決法の提示

戦略計画の策定

  • 経営理念 何のために働くのか?
  • 行動指針 どのように働けばいいのか?
  • 年間目標 今期はどれだけ業績を出せばいいのか?
  • 中期目標 3年間でどこまで成長するのか?
  • インセンティブプラン 達成した時に得られるものは何か?

KPIにプロセスを加味する

  • 売り上げ + 商談 / 2

去年の年末にフランスにイスラム政権が誕生するというフィクションのミシェル・ウェルベックの「服従」、ナチスのナンバー3、金髪の野獣と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒの暗殺計画を描いた「HhHH」、さらには数冊読んだ地政学の本なんかがあり、手に取ってみた本。

著者の浜矩子さんは髪が紫の女性という事を知ってる程度で、彼女の専門、文章を始めて読んだ。

この本の構成は、3/4ぐらいがEUの成り立ちで、一言で言うとEUの成立は「必然の奇跡」みたいな感じ。元々は戦争ばっかりやっててしんどいし、なんとかしましょ、という政治的な目的でヨーロッパをまとめましょう、という方向で、もともと戦争やってたぐらいだからやっぱり政治的にはまとまらなくて、経済でまとめようというのがEU。

しかし、統一通貨導入という事は、自分の国の通貨の発行をしないという事で、国として通貨をコントロールができなくなるという事態が起こるので、国としては避けたいということで基本的にはやりたくないのだが、それを上回るやらなければいけない理由が、東西ドイツの統一だった。ドイツが統一されてあまりにも強くなって実質ヨーロッパの通貨がドイツマルクになってしまうのよりも、ユーロという統一通貨の方がマシという仕方がない理由でユーロ導入に踏み切ったといういきさつ。

EUの成り立ちの中でさまざまな構造的な問題が含まれている。例えばギリシャは地政学的に中東にも近いので、早めにEUに組み込んでおきたいという事でEUに組み込まれたがギリシャ経済はEUの中心である原加盟国6っか国とはかなり経済的には格差があるが、ギリシャもEUに組み込んじゃった方が中東方面に取り込まれるよりも良いという事で早目にEU入りした。

同じ理屈でロシアとの境目の中欧の国々も後からロシアにまた攻め入られるよりも、EUに参加した方がマシという事でEUに参加したが、ギリシャがEUに入った時のEU参加条件よりも、参加条件が厳しくなんとかそれをクリアして参加したという事でギリシャに対しての不満があったりもする。さらにはギリシャが経済破綻してEUでサポートという局面でも新たに参加した中欧の国の方が経済的には厳しかったりして、なぜ自分がギリシャが救わなければいけないのか..って話になっていたりもする。

後はイギリスの話。この本が書かれたのは2015年なので、ブリグジットは決まっていない時だが、EU消滅の一つのシナリオとして、ブリグジットはすでに挙げられている。

自分の持っていたイギリスのイメージは、伝統と格式を重んじる国というイメージだったが、この本によるとイギリスのルーツは海賊で、略奪もビジネスという輩国家だった。大英博物館に行った事があるけど、これも世界中からイギリスが略奪してきたものを展示してある所で、言われてみると確かにそうかなという感じ。そしてイギリスは国としては良い言い方をするとアジャイルで(というかあまり計画しないで)実利的だそうだ。

フランスはというと、計画よりも感性を重んじるようなイメージを持っていたが国としては逆でみっちり計画を立てるそうだ。

そして、海賊をベースとしているイギリスと、宮廷文化をベースとするフランスは根本的な所で相いれない。というイギリスだけど、それなりに国力があって、フランスとドイツとのクッションというポジションとしてはEUでは重宝されている。

ドイツは経済的にはEU内で最強なんだけど、ナチスがひどい事しちゃったんで割と控えめに目立たないようにしていたが、時間も経ちジワジワともの言う国になってきている。さらにクッション役のイギリスがEU脱退。という事でEU消滅というシナリオは進行しつつある。

という事でEUが消滅するとすると、それは何年後なのか、EUが消滅するとどうなるのか?

そういう所も書いて欲しかったが、専門家としてその辺を書いてしまうと大抵予測を裏切る事が起こり予測は外れてしまうので数年後に「浜さん外れましたね」みたいな事を言われないように敢えて書いていないのかな?タイトルが「EU消滅」と引きが強いので、EU消滅後の予想が書いてあるのかと期待してしまった。

今までの流れでEUが消滅したとすると、ロシア、中国がEUに属している中欧の国を取り込みにかかり、ドイツを中心とする連合がタイトな感じで出来てくるのかなと思った。その中でキャラの立っているエストニアとかフィンランドとかはシンガポールっぽい感じで他の世界とヨーロッパのハブでやっていく路線で国際化をしてヨーロッパとアジアとイスラムのミックスみたいな感じになっていくのかもと思った。

実は「世界の経営者はいま何を考えているのか」だと思って借りてみた本。読んでみるとなんか違うなーと思ってタイトルを見てみたら、「経営学者」だった。

経営学とか、MBAとかについてもあんまり知らないので、ここらで経営学についてかじってもいいかなと思って読んでみた。著者の入山章栄さんの名前もちらほら目にするし。

とあまり期待しない感じで読み始めたのだが、「経営学」についてかじってみる、入門してみる、今を知るにはとても良い本だったし、結果経営についても参考になる本。

最初から経営学者はドラッガーの本は読まないとの事。そうなのかーと思って読み進めると「ドラッガーはええこと言うてるけど、サイエンスとちゃう」みたいな話だとか、一般に名前を聞く「ハーバード・ビジネスレビュー」は経営学では2流のジャーナルだという事。一般的に名前を聞く世界と経営学の世界は違う所にあるらしい。

経営学はサイエンスを目指しているので、基本はデータを集めて統計的に分析をして、そこからの法則を見つけ出すって事なので、ケーススタディーよりも統計が重視されるとの事。

統計、数字がベースなので、経営学者はなんとかモデル化をして数値化をして指数を定義したりしている。たとえば国民性を表すホフステッド指数。

先ほど2流のジャーナルというハーバード・ビジネスレビューだが、そこからの論文発表で有名になったモデルもある。パンカジュ・ゲマワット教授が提唱した、グローバル経営において地域の固有性や他地域との隔たりを理解するために活用できるフレームワーク。文化的(Cultural)、政治的(Administrative)、地理的(Geographical)、経済的(Economical)の頭文字。

後、この本で紹介されてて面白いと思った本はこちら。

今、台湾の会社とパートナーシップを組んでいるし、イスラエルも昔から面白い国だと思っている。なんとなくそういう小さい国で、地理的にも緊張感のある国の人の方が行動がクイックだし、考え方が合う感じがしていて、そこは自分のスタイルという事でより磨いていこうと思った。

他にも、ベンチャーキャピタル、CVCなどについての解説があり、CVCに関してはCVCは会社にとってオープンイノベーションの1手法であるとか書いてあってなるほどと思った。

全体を通して感じたのは経営者にとっては、いろんなテーマで経営学者が統計とって調べてくれたり、理論を作ってくれたりしてるのでそれを使ったり参考にしたりすると良いかなと思った。

後はそういった有名な学者と論文のタイトルを引用したら、ハッタリ効くかな。

こんな感じの事思い付いたけど、それについて書かれてる論文を調べてくれるMBAホルダーのお友達が欲しい。

同じく入山さんの本、これも読んでおくというか、買って会社に置いて辞書的に使ってみるかなー。

軽く読める生命科学本かなと思ってタイトルに釣られて読んでみた本。発生学や生物学的には人間以外の種では圧倒的にメスの方が重要で、オスは減数分裂をして遺伝子を組み合わせる時のみに必要で、あとは割と必要なかったり、受精卵が分裂して育っていくときも最初はメスの形から出来て来て、ちょっとしたきっかけでオスになっていくとかで生物のベースの形はメスであるという事は知ってたので、さらにどういった展開がされているのかなと思いながら読んでみた。

過去にはこの本

を読んだりもした。この本の中には有名なボーヴォワールの「第二の性」の「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」というのを引用して、後ろ生物的には、生き物は女に生まれるのがデフォルトという話を展開してたのを覚えている。

後は、こんな本も読んでた。

中身はというと、生殖に関する仕組みといくつかの事例の紹介をまとめた本。生き物の中には、交尾しなくてもクローンで増やせるとか、受精しなくても精子が卵にくっつくだけで、その後の分裂が始まってしまうもの、温度などの条件で、オスが生まれて有性生殖をしたり、無性生殖でクローンで増えて行ったりとかの紹介とかが紹介されていたり、人間の性を決めるメカニズムが紹介されたりしている。

生殖に関しては、「女性は実態、男性は情報」というコンセプトで書いてあり、「卵の中には体を作るシステムが入っている、精子はこのシステムの枠内で、形や行動をほんの少し変化させる情報を提供しているだけだ。母系からは、ミトコンドリアをはじめとする様々な細胞内器官が伝達されるが、精子から提供されるのはDNAという情報だけだ。」と書いてある。

「男性は情報」というコンセプトをさらに進化させると、男性は情報だけのバーチャルな存在で良い、みたいな未来が来るという事もストーリーとしてはありうるなと思った。

VR空間に生息しているバ美肉おじさん達は、女性(美少女)のバーチャルな体を手に入れつつ、自分の行動もデジタル化しているので、なんとなく「男性は情報」みたいなのの取っ掛かりを自ら実験しているのかなとも思った。

著者の池田清彦さんについて調べてみた。

構造生物学かー、「構造主義」についてもあんまり知らないし、またいろいろと出てきたなと思って、まずは構造主義について検索。

組み合わせてみると「構造主義生物学」は環境(構造)が生物のふるまいを決定するみたいな話かなと思った。そういった意味では環境(温度)が無性生殖や、有性生殖を切り替えたりという話を紹介するのは納得だし、細胞レベルで言えば、人間の体の中も環境といえる。

2021年最初の本。これも本屋大賞の本。最初から凄い本だった。ナチスのラインハルト・ハイドリヒというホローコスト計画を立案をしてプラハの監督をしていた人物の暗殺という歴史をベースに、小説家が小説を書くという行為をメタな視点で眺めつつ、ナチスの資料やら、映画やら、小説の断片を紹介しつつも、ラインハルト・ハイドリヒの暗殺の場面では、作家自身が資料に入り込んで、そこの場面を見ていいるかのような描写に至る。そこの入り込み具合が全く他の小説に無い新しい感覚だった。

例えて言うなら2019年のM1グランプリでミルクボーイのネタを始めて見たような感じ。

後半の盛り上がりは凄いんだけど、前半は高校時代は「山羊」と呼ばれたラインハルト・ハイドリヒがナチスで「金髪の野獣」と恐れられるような人物になったのかをいろんな断片と自分の思う所がカットアップされる感じで書かれていて、ヒムラーを始めとしていろいろと出てくるナチスの構成員については説明が無く出てくるので、いろいろとググりながら読む必要があり、これは最後まで読めるかなともちょっと心配をした。

そして、立て続けにナチスの人物のWikipediaのページを読んでいたので、その時の自分の検索履歴を見られたらヤバい人だと思われても仕方がない感じになってしまった。

さらにその当時のドイツやロシアの間の中欧の国が舞台になっていたので、そこもググる事からスタート。地理で学んだチェコスロバキアがとっくの昔にチェコとスロバキアに分離してたり、ルーマニアとウクライナに挟まれてモルドバという国があったり、さらにはベルギー、オランダ、ポーランドとかについても調べたりと、ヨーロッパの地理を調べながらの読書となった。

ロシアとドイツの中欧や東欧の国はロシアと西ヨーロッパの緩衝地帯として面で接してるとか、ドイツはランドパワーの国で海側に向かうなんかの以前に読んだ地政学の話も頭に浮かべながら読んでいた。

ドイツはランドパワーだったよなと確認の為ググったらやたらと地政学についてまとめられたページを発見した。このWikiwandってなんだろう?

最近読んだ「ひとつむぎの手」「楽園のカンヴァス」がストーリー展開としては王道の複数のプレイヤーのストーリーが交錯をして伏線を回収するというスタイルだったが、HHhHはそういった王道のスタイルとは全く違ってて、歴史上の事実をベースにしているので伏線というのは無し、結末も事実をベースにしているので、もうわかっている。それを作者がどう書くか?そういった期待をベースに文章のグルーブ感でぐいぐい後半読ませる、新しいスタイル、フォーマットの文学だった。

Naoji Taniguchi

I'm hub of technology, entertainment, game, art, science, social media and business based on a lot of engineering experience .

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