「オスは生きているムダなのか?」を読んだ

Naoji Taniguchi
Jan 17, 2021

軽く読める生命科学本かなと思ってタイトルに釣られて読んでみた本。発生学や生物学的には人間以外の種では圧倒的にメスの方が重要で、オスは減数分裂をして遺伝子を組み合わせる時のみに必要で、あとは割と必要なかったり、受精卵が分裂して育っていくときも最初はメスの形から出来て来て、ちょっとしたきっかけでオスになっていくとかで生物のベースの形はメスであるという事は知ってたので、さらにどういった展開がされているのかなと思いながら読んでみた。

過去にはこの本

を読んだりもした。この本の中には有名なボーヴォワールの「第二の性」の「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」というのを引用して、後ろ生物的には、生き物は女に生まれるのがデフォルトという話を展開してたのを覚えている。

後は、こんな本も読んでた。

中身はというと、生殖に関する仕組みといくつかの事例の紹介をまとめた本。生き物の中には、交尾しなくてもクローンで増やせるとか、受精しなくても精子が卵にくっつくだけで、その後の分裂が始まってしまうもの、温度などの条件で、オスが生まれて有性生殖をしたり、無性生殖でクローンで増えて行ったりとかの紹介とかが紹介されていたり、人間の性を決めるメカニズムが紹介されたりしている。

生殖に関しては、「女性は実態、男性は情報」というコンセプトで書いてあり、「卵の中には体を作るシステムが入っている、精子はこのシステムの枠内で、形や行動をほんの少し変化させる情報を提供しているだけだ。母系からは、ミトコンドリアをはじめとする様々な細胞内器官が伝達されるが、精子から提供されるのはDNAという情報だけだ。」と書いてある。

「男性は情報」というコンセプトをさらに進化させると、男性は情報だけのバーチャルな存在で良い、みたいな未来が来るという事もストーリーとしてはありうるなと思った。

VR空間に生息しているバ美肉おじさん達は、女性(美少女)のバーチャルな体を手に入れつつ、自分の行動もデジタル化しているので、なんとなく「男性は情報」みたいなのの取っ掛かりを自ら実験しているのかなとも思った。

著者の池田清彦さんについて調べてみた。

構造生物学かー、「構造主義」についてもあんまり知らないし、またいろいろと出てきたなと思って、まずは構造主義について検索。

組み合わせてみると「構造主義生物学」は環境(構造)が生物のふるまいを決定するみたいな話かなと思った。そういった意味では環境(温度)が無性生殖や、有性生殖を切り替えたりという話を紹介するのは納得だし、細胞レベルで言えば、人間の体の中も環境といえる。

まだまだ、特定の種の生き物同士の共生関係も成り立ちとかは分かっていない状態だと思うので、そういうと所で「構造主義」とかのツールを使うのはアリかなと思った。多分、その時代の流行りっぽかったし。

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Naoji Taniguchi

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