「偶然の科学」を読んだ
800ページ以上ある「世界標準の経営理論」を読んでその中に社会学ディシプリンをさらに深める為にと、紹介されている本でアルバート・ラズロ・バラバシの「新ネットワーク思考」と、ニコラス・A・クリスタキスの&ジェイムズ・H・ファウラーの「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」を読んで、その中で紹介されていた本。
多分同じ物理学から社会学へ広げていったバラバシ本で紹介されていたかな。
社会学には興味があるけど、ベースは工学部で船と飛行機について勉強をして、構造力学とか流体力学をやっていたのでどうにも数式で表す事ができない、社会学、ここには出てないけど法学、経済学はサイエンスみが欠けると思っていて、それに答えてくれる、というかきっかけを与えてくれる本だった。
著者のダンカン・ワッツも物理学出身で、現在は社会学部の教授をやっている。最後の章を読むと「社会学はいまだに自分たちのケプラーを見出していない」という言葉を引用して、物理学のようなサイエンス感に欠けるてな感じの事を言っている。
人間はパラメーターが多すぎて、古い経済学のモデルのように定式化、モデル化をしても結局の所は事象を説明できないし、社会的ネットワークは、多層的であったり再帰的な入れ子であって、さらにパラメーターが多い複雑系であるので、惑星の運動のようなモデル化は無理という話。
社会学でもサイエンスとして、ばらつきを平均化する為に多数の人間に聞き取りを行ったり、大勢を集めてロールプレイをやらせたり、手紙を使った実験をしたり、歴史をたどってみたりしているが、歴史はその都度1度しか起こらないので再現性は全くないし、なかなか物理学的なサイエンスとして扱えるものでは無かった。
しかし、インターネットが普及をして、連絡はe-mailで取り、人のつながりはFacebookのようなSNSでデータが取れるので、何万というデータを使った実験も可能になってきた。
今現在はどうなのかは知らないけどこの本を書いてた時はヤフーリサーチの研究員だったりもするので、社会学をインターネットのデータとアプリケーションでモデル化をしてコードに落とし込みいくつかの社会学的な命題の実証をやっている。
という事で、「イマイチサイエンス感の無かった社会学を俺がインターネトをつかってサイエンスにしてやるで!」という意気込みが感じされた。
この文を書いているのは2021年の6月で、まだまだCOVID-19の影響が強く、可能は人はリモートワークで、コミュニケーションもオンライン、打合せはZoom等でダンカン・ワッツみたいなネットとコードをベースとする社会学者にはさらに研究しやすい状況にある。
という事で、アルバート・ラズロ・バラバシやダンカン・ワッツのような物理学から社会学へ転向した研究者がこのCOVID-19の影響下の社会から何を導き出すか期待を勝手にしている。