「暗闇にレンズ」を読んだ
多摩美出身で芥川賞作家という事で読んでみた。
まずは装丁がかっこよかった。
表紙をめくると表紙の絵のモノクロ
そしてその裏は、フィルムのような、磁気テープのようなシャッター膜のような黒。
小説の中身はSide Aという現代の女子高生二人組の話と、Side Bという1898年から始まる日本の映写機であるとか、映像の歴史を絡めた話。
この手の構成は現代と過去が最終的には繋がるんだろうなという伏線なのでそういうのを意識しながら読んだ。
本物の映像の歴史をベースにしたこの本の世界観の中での展開、モデルは多分これかなと思うのもあれば、映像兵器に関してはちょっと検索してみたけどあんまりヒットしなかったし、映像兵器で流されるような映像の中身に関しては一切記述が無いので、フィクションなのかも。
モデルになってそうなものとしたら、ディズニーとか、フィラデルフィア計画とか、横浜の川沿いにある狭いバーがいっぱいエリアとか。
そういった元はこれだったんだろうなーと想像しながら読むのも面白いし、多分そういう狙いもありかなり現実の描写は細かい。
小説の中にメディア論とか映像の歴史とか、ドキュメンタリー撮影手法の紹介とかいろいろ詰め込まれてて、感情をストーリーにして構築して伝えるという以上にいろんな角度から味わえる小説だった。